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-ダメ経営者と言われないための人事労務管理の基本知識-第34回

AVH事務局 2016.05.26

第34回:【4つ実践力 -対話力- 】
社会保険労務士法人デライトコンサルティング
代表社員 近藤 圭伸

◆前向きな妥協点を探る

 妥協点を探るというと、なんだか迎合するようで消極的に聞こえますが、対話において妥協点を探ることは、経営者と社員のどちらかが折れて妥協することではありません。対等な立場で歩み寄り、接点を持つことです。
 接点を持つというのは、簡単に言えばお互いの共通点を見つけることです。話し合いを尽くすと不思議なもので、お互いが大事にしていることの中で、いくつか共通したものが見えてくるのです。経営者から社員に「私と君との共通項は、○○と○○だね」と言って共有をし、その共通項から考えられる、お互いにとってよい妥協点(策)を考えればよいのです。

 経営者は焦らず欲張らず、たった一点でもよいので社員の考えとの接点を持ち、接点を起点に少しでも部下の考えと重ね合う努力をすべきだと思います。
 ただし、経営者と社員は別人格ですから、全てお互いの考えを重ね合うということはできませんので、無理のない重なり部分を形成することが大切です。

◆現状を打破しベストな解決策を導く

 経営者と社員の対話の場面は、必ずしも和やかな雰囲気で行われるとはかぎりません。むしろ一種の緊張した雰囲気を伴います。もっとも理想的な対話の成果は、経営者と社員がお互いの合意点や前向きな妥協点を探る努力をしている中で、経営者も社員も気づかなかった解決策や視点を発見することです。それは真剣にWIN―WINの関係を模索する中でひらめくことです。

 「経営者も社員も気づかなかった解決策や視点」とは、例えば次のようなことです。

○「職場組織の編成を行う時に、人間関係を考えすぎると上手くいかないが、顧客の視点を取り入れたらお互いが納得でき、すんなり組織編成ができた」
○「業績が良くないので、経営者が給与を減額したいと申し出て労使の対立を招いたが、休日を増やすということと引き換えに、給与の減額に合意点を見出した」
○「遠方から会社に通勤する一人暮らしの社員に、いつも夜遅くなり公共交通機関もなくなることから、会社の近くにマンションを借りて徒歩で通勤してもらうように提案した。お互い議論を尽くした結果、家賃相当の住宅手当を会社が支給することになったが、その分高額だった交通費やホテル代がなくなり会社はコストダウンができた。本人も通勤の疲労がなくなり、今までより元気に仕事ができるようになった。また、生産性が上がった」

 このように対話を尽くすことによって、思わぬところで現状を打破できたり、ベストな解決策を見出すことができます。対話は緊張した雰囲気を伴いますが、大変質の高いコミュニケーションであり、お互いが目的や問題意識を共有し、WIN―WINのプロセスを共有できれば、大きな成果をあげることができます。
 また、社員との対話は、経営者の価値観と社員の価値観をすり合わせる作業でもありますから、当然摩擦はつきものです。しかし、違う価値観どうしがすり合わされば、やはり新しいものを生み出す可能性が高まることは間違いないでしょう。対話をすればするほど会社は強くなっていくのです。

あいち産業振興機構