>  > IM(インキュベーション・マネージャー)とは~コンサルタントとの違い~

ベンチャ事始め

IM(インキュベーション・マネージャー)とは~コンサルタントとの違い~

AVH事務局 2016.01.08

協定

あいちベンチャーハウス IM 中野 喜之

 あいちベンチャーハウスでIMという、あまり皆さんの馴染みのない立場で、ベンチャー企業の支援に携わっておりますが、今回はIMとコンサルタントの方との支援の違いを紹介させていただきます。

 過日、K大学を卒業し、3年間リサーチ会社で専門職を経験し、名古屋で自分のやりたい事をしたいとUターンされた方が、訪ねてこられました。ネットでAVHを見つけられて、IMの仕事をしたいということでした。こうした一部の方には興味をもっていただけるようになったことは嬉しい限りで、その時にお話ししたIMについて、IMの具体的な支援の仕方などを多くの方にご紹介しようという気持ちになりました。

■IMって何? インキュベーションって何?

 まずインキュベータとは、卵を孵す“孵化器”という意味があります。そこから転じて、創業時の起業家に対して、経営アドバイス、資金調達へのアクセス提供、企業運営に必要なサービス(マッチング・販路開拓等)への橋渡しを行う施設、団体、組織を意味します。特徴は単なるスペースの賃貸ではなく、ハードよりも、ソフト部分の仕組みや支援体制がそろっているところです。

 IMはインキュベーションマネージャーの略でインキュベーションをお手伝いする係だと思っていただけるとわかりやすいですね。IMは、経験の余りない人への知識、ノウハウ、経営資源など、不足するものを幅広く補い、相談相手となり、支援システムを活かしながら、事業にまで導きます(一般社団法人日本ビジネス・インキュベーション協会、略称JBIAのHPより)。具体的にはあいちベンチャーハウスで私がやっている内容でご説明すると、入居者の個別の状況に応じて、課題や進路状況を確認しながら、以下の図のようなビジネスサポートを行って支援しているわけです。

 要は何からなにまで、支援できる限りビジネスの成長のための案内人になります。よく言われているのは、『IMは起業家の伴走者であれ』ということになります。あくまでも伴走者であり、リーダーシップをとることはありません。
 経営コンサルタントとどう違うんだ、という声が聞こえてきそうですね。よく聞かれる質問です。簡単に書くと以下のようになります。

 コンサルタントは、会社(社長)から依頼され、その会社の問題や課題を解決することが役割となります。いわゆるスポットについて、課題を抽出し、解決するためのアクションを起こされます。その対象は、多くは業務であり、職場であり、社員です。社長(=起業家)がターゲットとなることはありません。
 またコンサルタントは、課題を解決するために従業員の方に「こうしなさい」と命令します。これは社長から依頼されているので、社長になり替わり、コンサルタント自身の経験を活かし、その成果を出すためには必須のことです。

 対してIMは、伴走者なので、社長(起業家)のためだけの支援を行います。自分の経営経験などを駆使して事業を継続するための苦労を理解しながら、事業の進捗状況、キャッシュ、新事業への取り組みと、次々と出てくる経営に関しての選択肢を提示して、それをどう解決すれば最良なのか、起業家と検討をします。
 それは経営計画策定の時にも、事業拡大のための課題を克服するときにも、人事・労務管理に関する問題があったときにも、事業をするために必須の考え方を、起業家と一緒になって考えていきます。

 時には、技術者が居ない、仕事がない、お金がないに代表される「愚痴」の良き聞き役ともなります。結構、愚痴を吐き出してしまえば、すっきりと仕事に取り組める起業家が多くいらっしゃいます。社長は孤独なんですね。
 これが伴走者たる所以です。

 しかしながら、IMの役割にも限界が有り、例えば出資までの支援を行うかどうかというと、出資はIM自身の判断でできる問題ですが、それは個別にキャピタルや、クラウドファンディング等を活用する方向で支援していくべきだと思っています。

■IMはどこで活動しているのか

 昨今ビジネスカフェ(通称ビズカフェ)や、コワーキングスペースなど、新しい意味合いを持ったビジネスのハードが、いろんなところで整備されてきています。中には、IPO(株式上場)を目的としたインキュベータも、数年前から整備されてきました。その多くはベンチャーキャピタルが絡んだところですが、起業する場所が様々なところで提案されているのは、ベンチャー起業を目指す方々にとっては、有り難いことだと思います。こういう中にもIMの機能を持った方が、必ず居られます。

 さて冒頭のIM志望者に、上記のような点をお伝えし、様々な経験が必要なことや、インキュベータやその他、起業に関するネットワークは、全国各地に多数の機関や、グループが存在するので、その関連するところに飛び込んでみてくださいと、アドバイスをさせていただきました。もちろんIMの養成に関して唯一研修をされている先述のJBIAの組織もご紹介をしました。

 時代とともにIMの役割も私のような都市型ビジネスインキュベータだけではなく、先述のJBIAはインキュベータを『産業創造』ととらえ、IMは『産業創造師』として、産群を創造する役目をもち、自らが場を作り、事業を誘発していくという地域を担った活動をし、それに携わっているIMの方々も多くいらっしゃいます。コワーキングスペースの提供や、起業者のたまり場を作っている方々も、新しい形のIMだといえます。

あいち産業振興機構